私がフライを始めたころはフライ=渓流=トラウトという図式でした。
狭い山岳渓流でろくにラインも出さすチョンチョン釣りばかりしていたせいかキャスティングもなかなか上達せず、手に取るのは7ft前後の3番ロッドばかり。
あるとき釣り雑誌の編集をしている知人の紹介があってプロフライフィッシャーの杉坂(兄)氏と長野へ同行する機会がありました。ダム湖のバックウオーターでライズ狙いの釣りをしながら直々にキャスティングをコーチしてもらい、そこで自分のフライフイッシングは大きく変わりました。
渓流の釣りを離れて関心は湖>バス>ソルトと変遷していきました。
というわけで現在はソルトが最も関心のある釣りですがいくらヒマな私とて毎週のように沖縄や海外へ行ける訳はありません。安くなったとはいえ¥もかかりますしね。
かといっていまさら修行のように釣れない、遠い、渋滞に巻き込まれる、のびのびキャストできない渓流の釣りには戻れないし、基本的に釣れない釣りはイヤなんですよね。
じゃ釣れればいいのかと言うとそうでもない。
ウチの近所の川ではいつでも好きなだけ50オーバーの鯉がフライで狙えます。
でもすっかり飽きてしまって今ひとつ面白くない。
それはなぜかと考えたら鯉のフライフイッシングは自分にとっては何かの代替なんですよね。本命が他にいるのに手近な相手と暇潰して過ごすような、なーんかムナシイ気分になるのです。
同じコイ科の魚でもアグレッシブにフライを追う魚は結構身近に居ます。
ヤマベ、カワムツ、ハヤ、ハスなどです。
これらをやっているときは何かの代替でやっている気分にはなりません。
それどころかこうして専用のロッドまで作っているほどの入れ込みようです。
フライの楽しみの半分は釣るまでのプロセスにあると思うので、ロッドを作っている間からすでに楽しんでいられるという訳です。
両手で持って写真を撮るような海の大物も、
15cmにも満たないヤマベも釣りの楽しさでは変わらない。
この頃特にそう思う事が多くなりました。